しょうゆがいろいろします

いろいろするよ

週末パスで行く信越の旅 ②

こちらは、前々回の記事「週末パスで行く信越の旅 ①」の続きとなります。

まだ前回を読んでいない方は先にそちらからお願いします。

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ピピピピ ピピピピ

うーん......ねむいよ......

ピピピピ ピピピピ

ピピピピピピピピピピピピ

はっ!!

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毎回同じくだりでごめんなさい...。

午前5時、とりあえず目が覚めたので、荷物を持って静かにチェックアウトし、長野駅へ向かいます。寒さに手がかじかんでいました。

昼間は大勢の観光客でにぎわう改札口も、夜明け前は誰もいません。視覚障害者用の誘導鈴だけがガランとしたコンコースに響いています。

週末パスを自動改札に通し、構内に入ります。

駅に少し早く着きすぎてしまったようです。待合室で温かい雑炊スープを飲み、時刻表を見て今日の予定を再確認。1日の始まりです。

そろそろ入線だろうかと思ってホームに向かいましたが、まだでした。待合室へ引き返すのも億劫なので、少し寒いですがここで待ちましょう。

そう、今日最初に乗るのは飯山線です。

架線には大量のカラスが。群れていてなんだかかわいいですね。一方私は一人旅の最中。自分一人だけの旅、大切な人や友達との旅、どちらもそれぞれの魅力がありますよね。

え?お前にはそんな恋人も友達もいないだろって?現実を突き付けないでくださいよ...

5時40分頃、汽笛とともに2両編成の気動車がやってきました。これが今日最初に乗る列車になります。車両はJR東日本ならどこにでもいるキハ110系ですが、私が大回り乗車で見慣れている八高線のそれとは違って、電連が1段だけなんですね。地域差があって面白いところです。

八高線と違うのは外見だけではありません。ドアを開けて車内に入り、天井を見上げると、何故か電灯にカバーがかかっていることに気づきます。

トイレもなんだか違う形で、大型です。

そして、座席配置こそ普通ですが、ロングシート部分の窓枠にもテーブルがついています。

これらの異変、実はこの車両がかつて特急車両であったことの名残なのです!

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時は1996年、秋田新幹線の工事はいよいよ終盤に入っていました。しかし、最後にはとある大工事が控えていました。改軌です。

JRの在来線は通常、軌間1,067mmの狭軌を採用しています。一方、新幹線は高速運行のため、安定を得るために1,435mmの標準軌です。つまり、在来線である田沢湖線秋田新幹線を通すためには、軌間狭軌から標準軌へと切り替えなければならないわけです。

その軌間切り替えには丸1年かかるため、その間は田沢湖線は全列車運休にせざるを得ません。従来盛岡から秋田までを田沢湖線経由で結んでいた特急「たざわ」も例外ではなく、工事中の移動手段確保のため、北上線経由で代替の特急列車を走らせることになりました。

しかし、その代替特急には問題がありました。JR東日本はこう考えます。

北上線、非電化だから気動車特急だよなぁ...。でも今うちに気動車特急車両ないし、新しく作っても1年でニート化確定かぁ...。せや!とりあえず特急っぽく作っといて、後から普通列車に改造できるようにすればええんや!」

そうして誕生したのが、キハ110系300番台です。座席はリクライニングシートなものの、車体構造は既に登場していた普通のキハ110系と同じ。キハ110系300番台は予定通り1年間北上線特急「秋田リレー」として走り、1997年に晴れて秋田新幹線が開業すると、次々に普通列車化改造を施されてゆくのでした...。

そういうわけでこの車両には、特急秋田リレー号当時の設備が、今もところどころにひっそりと残っているということなのです。

ちなみに、余ったリクライニングシートはE217系グリーン車に取り付けられたのですが、その後の修繕工事で座席が変更されているため、現存しないそうです。残念。

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5時51分、普通列車戸狩野沢温泉行きは定刻通りに長野駅を出発しました。エンジン音を響かせながら加速していきます。2両編成の車内は、半数のボックスに1人ずつ座るくらいの混み具合でした。

この列車、飯山線の始発列車だと思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし実はこの列車は2番列車。5時10分長野駅発の十日町行きが始発列車なのです。

5時台に2本も列車があるローカル線って珍しくないですか?車両運用の都合なのかもしれませんが、需要なさそうですよね...

しばらくすると、廃車回送で有名な長野総合車両センターの横を通過。211系やキハ110系が停まっているのが見えました。また後でもう一度通るので、一旦のお別れになります。

豊野駅を出るとしなの鉄道は北に進路を変えますが、飯山線はそのまま東へ。単線非電化区間の始まりです。空がだんだん茜色に染まっていき、車窓に雪が見え始めます。

飴なめなめ。

いつの間にか車内に高校生が増えたと思ったら、北飯山駅で全員降りていきました。Googleマップで見たところ、近くに高校があるようです。キハ110系に通学で乗れるのはうらやましいですが、こんな雪のなか学校まで歩くことを考えると大変ですね。

6時51分、長野駅から1時間きっかりで終点の戸狩野沢温泉駅に到着です。もちろんこんな駅で降りてもどうしようもないので、向かい側のホームに乗り継ぎの十日町行きの列車が来るのを待ちます。

来ました。今度はかわいい単行です。

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しばらく乗り続けると、長野県最後の駅である森宮野原駅に到着しました。目を引くのは「日本最高積雪地点」と書かれた大きな柱。もう70年近く前のことではありますが、なんと7.85mもの積雪があったそうです。豪雪どころじゃない桁外れの量です。

そんな厳しい気候条件も作用してか、飯山線戸狩野沢温泉駅津南駅間の営業係数は2021年度で8258円。営業係数というのは「100円を稼ぐのにかかる経費」のことですから、運賃100円を得るのにつきなんとその約82倍にもなる8158円の赤字が発生していることになります。

さらに、同区間の2021年度の輸送密度(1日あたりの平均乗車人数)はわずか63人。ここまでひどい輸送密度や営業係数は、赤字ローカル線を多数かかえるJR北海道にすらなく、日本全国で見ても下から数えて五本の指に入るくらいの超ローカル区間です。

大企業であるJR東日本だから何とか維持できているのが現状ですが、こんな状態ではいつ廃線になってもおかしくありません。みなさん、乗りに行くなら今のうちですよ。

キハ110系の豪快なエンジン音を聞きつつ車窓を堪能したのち、8時29分、終点の十日町に到着しました。飯山線自体はここから数駅先の越後川口まで続くのですが、次の乗り継ぎ列車は4時間後。さすがに旅程が崩壊するので、ここからは別路線に乗り継ぐことにします。

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階段を上がり、たどり着いたのは見るからに高規格な高架ホーム。そう、北越急行ほくほく線です。元々は東京から北陸方面へのアクセス手段として開業し、在来線国内最高速の時速160kmで681系・683系の特急はくたかが疾走するすごい路線でした。しかし北陸新幹線の開業によって特急列車が消滅。さらに2023年3月のダイヤ改正で、特急はくたかの系譜を受け継いでいた超快速スノーラビットをはじめとする快速列車も全て運行終了してしまいました。

かつては9両編成の特急も止まった長いホームに、2両編成の普通列車が入線してきました。特急の高速走行のために長いトンネルを多数掘って山の中を貫いている路線なだけに、てっきり日常利用客は少ないものだと勝手に決めつけていましたが、いざ乗ってみると車内には地元客らしきじいさんばあさんや学生がいっぱい。ちょっと驚きましたが無事ボックスシートを確保しました。ちなみに結構柔らかいよこの座席。

特急や快速といった優等種別がなくなり、現在では普通列車だけののどかな路線になった...のかと思いきや、このほくほく線普通列車、発車直後からそんな甘い予想を裏切ってきます。

めっちゃ加速力高いッ...!!

そしてめっちゃスピード出るッ...!!

乗車した北越急行HK100形電車ですが、その起動加速度(加速の強さ)は3.0km/h/sというかなり高い数値。この数字自体は山手線のE235系などとも同じなのですが、山手線は駅間距離が短くスピードを出しにくい一方、ほくほく線は駅間距離が長く、線形も特急の高速走行のためにとても良いため、最高速度110km/hのフルスピードで駆け抜けます。すごく気持ちいいです。

山脈をぶち抜いて快走し、20分少々で六日町駅に到着です。上越線との接続駅なので、普通なら長岡方面か水上方面にいってもいいのですが、実はそもそも六日町駅に来たこと自体が時間潰し目的だったので、次の直江津行きでそのまま折り返します。

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さて、その直江津行きとして入線してきたこの電車も先ほどと同じHK100形なのですが、なんだか見た目がおかしいです。

※画像は直江津駅です。ご容赦ください...

車内に入ってみると座席もおかしいことに気付きます。先ほどの列車はボックスシートだったのに、今度は転換クロスシート。いったいどういうことなのでしょうか。

六日町駅を発車し、次の魚沼丘陵駅を過ぎてトンネルに入ったそのとき。突如として客室の照明が消え、真っ暗になりました。なんかさっきからこの電車おかしい。もしかして、間違えてきさらぎ駅行きの電車か何かに乗ってしまった!?これから異世界に連れていかれるのでしょうか。怖いです...!

すると急に陽気な音楽が流れだし、天井になにやらかわいらしい映像が映し出されました。

心配ご無用。この列車こそが、北越急行の誇る"走るシアター"、「ゆめぞら」です。

時はさかのぼり今から20数年前、当時の北越急行の社員はこう考えました(たぶん)。

ほくほく線ってトンネルばっかでなかなか景色が見えなくて退屈だなぁ...。せや!電車にプロジェクターを付けて、天井にいろいろ映せばおもろくなるはずや!」

そうして2002年誕生したのが、天井に星座を映せる「ほしぞら」です。翌年には映像のバリエーションを増やして「ゆめぞら」に進化し現在に至る、というわけなのでした。

映像は合計5回流れ、それぞれテーマがあって飽きません。トンネル内の駅として有名な美佐島駅も通りつつ、直江津に向けてほぼ一直線で走り続けます。

大池いこいの森駅あたりまで来ると、頸城平野の雪におおわれた田んぼが姿を表しました。犀潟駅でJR信越本線に合流ししばらくすると、いよいよ終点の直江津駅に到着です。

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かつては北陸本線信越本線が合流する日本海側の玄関口として栄え、「はくたか」「白鳥」に代表される数多くの特急列車や、「きたぐに」「トワイライトエクスプレス」といった長大編成の夜行列車が行き来したターミナル駅直江津

...そんな直江津駅で私を出迎えてくれたのは、1両編成のディーゼルカーでした。

「長大なホームにぽつんと停まる短い普通列車」は今や"凋落した地方幹線"の代名詞にすらなりつつありますが、直江津駅にはその中でも特に哀愁をさそわれる気がします。

北陸新幹線の開業によって北陸本線(金沢以東)の特急がほぼすべて消滅した後も、しばらくは通称「糸魚川快速」としてしぶとく生き残った485系。それすらも2017年のダイヤ改正で静かに姿を消し、現在では直江津駅に来る特急列車は1日わずか4往復、E653系4両編成の「しらゆき」のみに。それ以外はワンマンの普通列車が発着するだけの、がらんとして寂しい駅に様変わりしてしまいました。

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北陸新幹線開業と同時に、直江津駅のある新潟県平行在来線を受け継いで誕生した第三セクターえちごトキめき鉄道

この「トキ鉄」、元・JR東日本信越本線の「妙高はねうまライン(直江津妙高高原)」と、元・JR西日本北陸本線の「日本海ひすいライン(直江津~市振)」の2路線を運営することになったのですが、様々な条件が重なり、運用される車両がとってもカオスな状態です。というわけでひとつずつ紹介していきましょう。

先ほどの画像にも出てきたこのディーゼルカーは、ET122系気動車。普段は日本海ひすいライン用ですが、1日1往復だけ妙高はねうまライン新井駅まで乗り入れます。画像左側の列車がそれです。

JR西日本区間を主に運行するため、車体は姫新線キハ122形がベース。言われてみれば運転席周りの窓の形やライトの形状なんかに西日本っぽさありますよね。内装も、西日本らしく転換クロスシートが並びます(ただし、2両だけ特別仕様のボックスシート車がいます)。

北陸本線は全線電化されているのですが、糸魚川駅付近を境に電化方式が交流と直流にまたがっているうえ、交直流電車を導入するほどの需要もない(製造費がバカにならないし、交流機器を積むと最低でも2両編成になってしまう)ので値段がお安く運用しやすいディーゼルカーになった、という経緯があります。

一方、妙高はねうまラインを走るのはこちら、ET127系電車です。ええ、見てお分かりの通り、JR東日本E127系を譲受した中古車です。

JR東日本らしく車内はオールロングシートで、2両編成の直流電車。首都圏にお住まいの方なら、川崎のほうを走っている南武支線で塗装とスカートの形以外は全く同じな車両に乗れるので、新潟気分を味わってみてください。

開業以来長らく以上の2形式(+少しだけ乗り入れる他社車両)で運行されていたトキ鉄。しかし、鉄道が大好きすぎることで有名な元いすみ鉄道社長・鳥塚亮氏が2019年にトキ鉄の新社長として就任したのち、2021年、なんと新しい形式の車両が導入されました。

それがこれ↓です。

国 鉄 型 急 行 電 車 !

いやあ、ロマンがありますよね。JR西日本から413系2両と455系1両を買って3両編成で走っています。本当はこれに乗りたかったけど、残念ながらこの日は検査中で乗れず...。

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さて、時刻は11時を周りました。昼食には少し早い気もしますが、この先しばらく長時間休憩できるタイミングがないので、ここで腹ごしらえするとしましょう。やって来たのは改札外の駅そば、直江津です。

店内に入り、もずくそば(480円)を注文。少し待つとすぐに出てきました。細めのもずくがいっぱいのっていて、うずらの生卵もついています。おいしかったです。

駅のホームに戻ると、柏崎方面からの直江津行きらしいE129系2両編成が、東洋IGBT-VVVFの音を響かせて入線してきました。昨日軽井沢で見たSR1系の双子の兄(姉?)にあたる車両です。

このE129系、実は私がJR東日本で一番好きな車両。ただ、その理由を語り始めるとこの記事の文字数がすごいことになってしまうので、それについてはまた別の記事で書きたいと思います。大好きとか言ってるわりに乗車回数が少なくて説明用の写真が足りない...

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さて、3方向の車両をそれぞれ紹介しましたが、私が結局次に乗るのはこれ、妙高はねうまライン妙高高原行きです。

やはり車内を見ると尻手や浜川崎辺りの印象が勝ちますが、窓の外に一面に広がる雪景色のおかげでここが越後国であることを思い出せます。11時35分、ドアが閉まって発車です。

11時51分に上越妙高駅に到着。ここで新幹線に乗り換えると思われる乗客が大勢降りていきました。しばらく経って新幹線から乗り換えてきた乗客を乗せ終わり、いよいよ発車かと思ったその時、向かい側のホームに接近放送が!

急いでカメラを構えた瞬間、赤い列車が高速通過していきました。これこそがトキ鉄のクルーズトレイン、雪月花です。

見た目や内装がオリジナリティにあふれていますが、実は形式名はET122系1000番台。とてもさっきの青い気動車と同じには見えませんけどね...。

さらに数駅進み、いよいよ妙高の峠にさしかかってきたとき、列車は急に駅でもないところで止まります。

そして後退し始め、あれよあれよという間に二本木駅に着きました。

日本でも数少ないスイッチバックとあって、鉄道に詳しくない旅行者も大喜びしています。丁寧な英語つきの自動案内放送まで流れました。

もう一度進行方向を変えて二本木を発車し、さっき止まったところを見下ろします。どんどん標高を上げている感じがして気持ちいい。

そうして列車はモーターを唸らせつつ山を登り、終点の妙高高原に到着しました。たくさんの観光客や地元客を吐き出し、折り返し直江津行きになります。

ところで、1日目の記事の最後に書いた次回予告「女子高生、幼稚園児に抱きつかれる」なんですが...、直江津から、私の隣に幼稚園児の男の子とその母親が座ってたんですよ。そしたら乗車中、急にその男の子が走り出して、向かい側にいた女子高校生に抱きついたのです。さすがにちょっとびっくりしました。思春期の男子中学生には少々刺激が強かったです。

すみませんただそれだけです

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気を取り直して旅行の続きといきましょう。妙高高原駅でしばらく待っていると、しなの鉄道の普通電車長野行きがET127系の隣のホームに入線してきました。

しなの鉄道普通列車は昨日紹介したSR1系が最大勢力。しかしやってきたのは明らかに国鉄型なレトロ車両でした。そう、現在では山陽近辺の他にはもうほぼここでしか残っていない、115系電車です。

1番乗りで並んでいたこともあり、スムーズにボックスシートを確保できました。モケットこそ張り替えられているものの、フレームは完全に国鉄型のそれです。やはりシートピッチはあまり広くないのですが、形状が自然なので座り心地が良い。実に快適!

ドアは手で開ける古いものですが、ドア上にはなんとLCDディスプレイがついていました。新型のSR1系は1段式LED表示器なので、逆転現象が起きてしまっています。

座席に目を戻しましょう。座席がそのままなのでもちろん二段窓も健在です。2月4日は二十四節気でいえば大寒、1年で最も寒い時期のはずなのですが、妙高の空気はやはり東京よりもどこか澄んでいるような感じがして気持ちいいです。気のせいでしょうか。

列車は妙高高原を出て、黒姫、古間、牟礼と順番に長野盆地へ下っていきます。標高が下がるのにつれてだんだん雪が減ってゆき、朝に乗った飯山線との合流駅である豊野に着く頃には、地面がくっきり見えるまでになりました。

北長野駅付近まで戻ってくれば、本日2回目の長野総合車両センターです。横須賀線総武線で活躍していたE217系が役目を終えここに運ばれて来て、クモヤ143-52(車籍は抹消済みだが引き続き入換機械として稼働中)につながれながら最期の時をまっていました。向こうはこちらより10年以上若いのにもう廃車。"走ルンです"の悲しい運命なのでしょうか...。

さらに進むと、中央快速線E233系0番台H51編成グリーン車対応工事を受けていました。このH51編成の出場をもって、グリーン車の製造数である57編成分の改造が全て終了したはずなのですが、どうやらあともう1編成改造されるという噂もあるらしく...。今後の動向が気になるところです。

運用復帰初日に見かけたH51編成。工事されていた車両が元気に走っているところを見ると嬉しくなりますよね。

https://youtu.be/W7cp0W1pcCI?si=kDYG_9YC8abi4MZf

↑画質は悪いですが動画も撮っておいたのでぜひご覧ください!

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妙高高原から46分の乗車を終え、13時49分、この列車の終点にして今日の旅の起点である長野駅に戻ってまいりました。

次の列車の発車時刻まであまり時間がないので、やや急ぎめに歩きます。

目指すのは6番線...

383系特急しなの号!

パノラマグリーン車が有名な383系ですが、普通車自由席でも最前列ならある程度前面展望できます(JR四国の特急車両のような構造です)。しかし今回はすでに埋まっていたため、そこらへんの一般席に陣取ります。

座席自体は一般的なリクライニングシート。座り心地もまずまずです。

一方で独自色が出ているのがこの部分。跳ね上げ式のフットレストがついています。この話は前回の「座席鉄の教科書」でもやったと思います。一応土足用なのですが、周りを見る限りだいたい靴を脱いで使われていました。

...実際、靴を履いたままだとあまり使用感が良くないので、本来の使い方には反しますが靴を脱いだほうが快適です。

14時ちょうどに長野駅を出発。14時9分に篠ノ井駅を出ると、383系ご自慢の振り子機構の性能を遺憾なく発揮し、カーブの多い篠ノ井線を爆走していきます。しばらくすると進行方向左側には、日本三大車窓のひとつに数えられることで有名な「姨捨から見る善光寺」が広がってきました。日によっては観光案内や減速運転などもあるようなのですが、今回はそういったサービスは特になく、淡々と通過していきました。残念。

松本駅を過ぎたのち、15時2分、列車は塩尻駅に到着しました。本当はこのまま名古屋まで行きたかったのですが、週末パスの有効区間JR東日本管内のみなので、おとなしくここで降り、中央東線に乗り換えて帰りましょう。

313系に乗るのもまた今度、ということで...。

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次の列車まで30分ほどあるので、改札階に上がって暇をつぶします。

こちらはおそらく"日本一入り口の幅が狭い"と思われる駅そば。成人男性だと体を縦にしないと入りづらそうです。どうしてこんなところに作ったんでしょうか...?

そしてその横に貼ってあったポスター。塩尻なら211系かE127系、あるいは313系あたりかなと思ったのですが、まさかのE231系500番台でした。いや、悪くないと思います。

次に乗る列車がやってきました。211系ロングシート車の普通列車です。これで上諏訪駅へ向かいます。

20分ほどで上諏訪駅に到着。おや、向かい側のホームになにかあるぞ。

そう、上諏訪駅名物、ホーム上の足湯!浸かってみると温度はぬるめでした。昨日浸かった湯田中駅のものはわりとあつめだったので下流側に逃げましたが、今回は一番上流まで行くことになりました。

あぁ...疲れが癒される...。

やはりタオルは持っていないので、適度につかったあとは自然乾燥させます。外気浴です、外気浴。

ちなみに駅のNewDaysで温泉たまごセットなるものが売ってあり、専用のコーナーで温泉たまごを作成できるらしいです。次行ったらやってみたいな。

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足湯を出たあと、特急あずさに乗ってさらに東に進んだのですが...次の画像はこれになります。

ここは塩山駅です。すみません、一気に1時間ほど時を飛び越してしまいました。実は足湯に入っている途中でスマホのバッテリーが切れ、モバイルバッテリーもなかったのでこうなってしまったのです。今回はE353系に救われました。ありがとうE353。そしてみんな、旅行に行くときはモバイルバッテリーを持とう。

ちなみに塩山で降りたのは、上諏訪から100km以内に収まるように特急を使った結果です。塩山でちょうど普通列車の追い越しがあったので良い感じで乗り継げました。しかも乗り換え先は偶然やや珍しいボックスシート。当たりです。

もうすっかり日は暮れ、211系は夜の甲斐路を走っていきます。車内は各ボックスに1人ずつ程度の混み具合でした。

1時間半ほど乗っていると高尾駅に着きました。普通ならここで終点になり、オレンジバーミリオンの電車に乗り換えるところなのですが、この列車は違います。

1日2往復だけの、211系による立川行きです!

普段ならE233系に占領されている区間に、211系の、しかもクロスシート車で突っ込むのは興奮モノです。西八王子、八王子、豊田、日野と順番に進み、18時59分、いよいよ終点の立川駅に入線しました。

近代的な駅に国鉄型車両がいる光景はまるで平成中期のよう。その雰囲気を楽しんでいると、ふと側面の幕に目がいきました。そして私は思わず唖然としてしまいました。

く...黒姫!?!?

なんということでしょう。数時間前通ったあの黒姫が、211系は行かないはずの黒姫が、はっきりと表示されているではありませんか。びっくりして写真を撮っていると、なんとホームに停車したまま幕回しを始めました。

全部写真を撮りましたが、うまく撮れなかったのも多いです。動画にしておけばよかったと後悔しました。ここではレアそうなものをいくつか紹介します。

ホリデー快速鎌倉号  南越谷

快速  直江津

快速  南小谷

上 松

松本(辰野経由)

他にも普段設定のない列車や入線しない区間の幕がいっぱい。幕鉄ではない私ですが、こんなに貴重な経験ができるとは思いませんでした。

ちなみにこの後も何度か立川駅で211系に会いましたが、こんな幕回しを見れたのは後にも先にもこの1回のみです。

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さて、211系が引き上げ、あとはまっすぐ家に帰るだけなのですが、せっかく週末パスがあるのにすぐ帰るのは勿体ないなと思い...

むさしの号で八王子へ。

相模線で茅ヶ崎へ。

そして平塚まで来てしまいました。

ここまで来ると先ほどのE353から供給された電源も減り、疲れからか意識ももうろうとしてきます。

最後に残ったお金で、昨日の軽井沢リゾート号で飲んだジュースをもう一度買い、昨日の朝と同じE231系近郊タイプコツ初期車で新宿へ。そのまま中央線に乗り、家に帰って倒れるように寝ました。

ちなみに茅ヶ崎から平塚まで乗った列車では、トイレのドアを手動で開けるというちょっと変わった体験をしました。

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こうして信越への2日間におよぶ旅は終わりました。途中大きなハプニングもなく終われたのはよかったです。

最後に今回乗った列車をまとめてみましょう。

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新 宿0502→上 野0527 (E235-0)

上 野0543→高 崎0729 (E231-1000)

高 崎0730→横 川0803 (211-3000)

横 川0810→軽井沢0844 (バス)

軽井沢0936→長 野1048 (SR1-100)

長 野1133→湯田中1218 (1000)

湯田中1231→小布施1253 (1000)

小布施1307→信中野1316 (2100)

信中野1343→須 坂1402 (8500)

須 坂1421→長 野1438 (2100)

長 野1441→信中野1527 (8500)

信中野1529→湯田中1548 (3000)

湯田中1645→長 野1734 (2100)

長 野1940→湯田中2029 (1000)

湯田中2040→長 野2129 (1000)

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長 野0551→戸狩野0651 (キハ110-200)

戸狩野0705→十日町0829 (キハ110-200)

十日町0902→六日町0919 (HK100)

六日町0934→直江津1043 (HK100)

直江津1135→妙高原1243 (ET127)

妙高原1306→長 野1349 (115-1000)

長 野1400→塩 尻1502 (383)

塩 尻1532→上諏訪1553 (211-3000)

上諏訪1614→塩 山1717 (E353)

塩 山1720→立 川1859 (211-0)

立 川1909→八王子1920 (209-500)

八王子1926→橋 本1938 (E233-6000)

橋 本1950→茅ヶ崎2053 (E131-500)

茅ヶ崎2100→平 塚2105 (E231-1000)

平 塚2112→新 宿2223 (E231-1000)

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ちょっと乗りすぎちゃった...。

まあいいでしょう。

以上で今回の記事は終了になります。前回から大幅に遅れてしまい申し訳ございませんでした。最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。

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【次回予告】

7/12発の特急アルプスの指定券を手に入れたので、またまた週末パスを使って長野に行ってきます。さらにその翌日は伊豆急に行くかも!?

座席鉄の教科書も更新していきます!!

乞うご期待!!!!

座席鉄の教科書 ① 基本知識編

起立、礼。

着席。

おほん、えー、わたくしが今年度の座席鉄の授業を担当いたします、鉄道科の小柚(しょうゆ)と申します。どうぞよろしく。

えーそれでは早速最初の授業に入って行くのですが、...えー、みなさん。鉄道の列車に乗る時において一番重要な事とは、何だと思いますか?

はい。そこの君。

あー、そうですね、車両の外見も確かに大事ではあります。しかし、外見を気にするのは乗る前と降りた後のわずかな時間だけです。乗車中はずっと車内にいるわけだ。

はい、後ろの席の君。

...さすが、理解が早いですね。

そう、座席、ですよね。余程混んでいる時でない限り、基本的には座席に座って乗車時間を過ごすことになる。だから私は、座席こそが列車の乗車において最も重要だと、そう思います。

えーすみません、前置きが長くなってしまいました。では、教科書を開いてください。

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ここで謎の授業風の茶番は終わりです。長々とやってすいませんでした。

さてさて、しかしこの教師(?)が言っていたこと、これは私の考えそのものです。座席は鉄道の要素として欠かすことができず、そして一般の方々の想像以上に奥深いのです。

というわけで、旅行記の執筆が進まないので穴埋めとして座席鉄の素晴らしさをより多くの人に広めるため、本企画「座席鉄の教科書」はスタートしました。

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それではまず初回である今回は、座席の基本要素について解説していきます。

こちらはどこにでもありそうなリクライニングシートです。E217系グリーン車2階席のものになります。いろいろ書き込みがしてあるので、ひとつずつ見ていきましょう。

【座 面】

座席を構成する最主要パーツです。座面がない座席は座席ではありません。いや当然か。

みなさんが座席に座るとき、座面の硬さを気にすることがあると思います。座面の硬さは主に材質によって決まります。

例えば、205系などでみられるバインバインと跳ねるような座席はバネが、209系のような硬い座席はウレタンなどの化学繊維のかたまりが、E233系のような跳ねはしないけど柔らかめな座席にはSばねという特殊な物体が入ったクッションが、それぞれ使われています。

列車に乗っているとたまにぶっ壊れている座席がありますよね。そんな座席をそっと持ち上げてみると内部構造が分かることがあります。ぜひ試してみましょう。

【背ズリ】

いわゆる背もたれです。なぜズリと言うのかはよく知りません。そんなズリズリしてる(?)イメージでもないですし...。

背ズリは座面に比べると注目を浴びることが少ないですが、実は座面以上に背ズリの形状というのは重要じゃないかと私は思います。せっかく座面が柔らかくても、背ズリの形状が適当だとちゃんと深く腰掛けられなかったり、特に左右方向への揺れが大きいロングシートでは体重が支えられなくて辛い思いをしたりします。

そんな問題を解決するために最近増えているのが、ハイバックロングシートです。

こちらは東急2020系のロングシートです。明らかに背ズリが高いのがわかりますよね。実際に座ってみると、普通のロングシートがせいぜい腰あたりまでしか支えられないのに対し、この座席は肩まで支えてくれます。そのおかげで体の揺れが減り、快適に過ごせるのです。

東急は近年ハイバックロングシートを大量導入しています。1編成全席ハイバックのこともあれば、増結中間車だけにある場合もあります。東急に乗る時はハイバックの車両を探してみるといいかもしれません。

なお東急以外では、京成3100形、京阪8000系などで採用されています。また、デュアルシートのロングモードもある意味ハイバックロングシートと言えますね。

ヘッドレスト

背ズリよりさらに上の、頭をのせる部分です。ヘッドリネンといって布がかかっていることも多いです。リネンがあると座席の見た目が引き締まって見えますよね。見えませんか?

さらに最近は、ただ布をかけるだけでなく、可動式のをつけた座席も増えています。特急のグリーン車などの高級座席ならほぼ必ずついていますし、普通車でもJR北海道JR東日本を中心に設置されつつあります。

画像はE353系普通席。枕があると、人体で最も重い部分である頭の重さを預けられるので、首の疲れが取れます。さらに可動式なので自分の好みの位置に調節でき、全員が快適に過ごせるというメリットもありますね。

【アームレスト】

いわゆるひじ掛けです。その中でも、2人掛け・3人掛け席の外側にあるものをサイドアームレスト、座席と座席の間にあるものをセンターアームレストといいます。

特にリクライニングシートにおいては、サイドアームレストはリクライニングのボタン・レバーがついていたり、車両によっては収納型テーブルがあったりします。

「ひじ掛けの奪い合い」は、鉄道オタクに限らずよく話題になりますよね。近鉄の一部特急車や、グリーン車等において横幅が広くなっていたり席が分割されていて余裕がある場合を除いて、センターアームレストがどちらの人の物なのかというのは悩ましい問題です。あるネット記事には「窓側が上座だから窓側が使うべき」などと意味不明な理論が展開されていたり、一方別の記事では「居住性の悪い通路側が使うべき」と書かれているなど、統一された基準がありません。

私としては、自席のリクライニングのボタンがついているところが自分のひじ掛けで、ボタンがないところはただの仕切りとしてとらえたほうが良いと思うのですが、どうなんでしょう。

【テーブル】

鉄道座席のテーブルといえば、ボックスシートなどなら窓枠の広い部分、回転クロスであれば背面についているものやサイドアームレストから取り出すものを想像すると思います。

背面のものはそのまま背面テーブル、ひじ掛け収納型のものは明確な呼称がないですがインアームテーブルと言っておきましょう。

特急車は背面テーブルが主流ですが、グリーン車などではシートピッチが広いためにあえてインアームになっていたり、向かい合わせでの使用を想定して背面とサイドの二刀流だったり(JR西日本の特急普通車など)、もとからインアームだけだったり(小田急ロマンスカーなど)、壁についている特殊な形式だったり(小田急ロマンスカー東武特急など)と、なかなかバリエーションに富んでいます。

フットレスト

足を置くための設備です。画像は373系普通席で、フットレストの中でも簡易的な跳ね上げ式・バータイプのものです(体重をかけていないとすぐ戻るので撮影が難しかった...)。

一般的にはグリーン車などの上級座席に、土足用の面と土足禁止の面が裏表になっていて高さが調節できる二面式フットレストが有名でしょう。それの簡易版として上の画像のようなバータイプがあります。

フットレストについての考え方は各社で差が大きいです。画像は東武特急スペーシアのもので、普通席にもかかわらず二面式の立派なものがついています。一方でJR東日本は普通席には一切なし、グリーン車であっても跳ね上げ式しか設置しておらず、かなり貧弱。JR東海は普通席にはバータイプ、グリーン車には二面式とうまく使い分けしています。

【レッグレスト】

鉄道座席のいい写真がなかったので、東海汽船さるびあ丸の二等椅子席で代用します。ごめんなさい。この足元の物体がレッグレストです。フットレストと同じく足を休めるための設備ですが、フットレストは足の裏をつけるのに対し、レッグレストは太ももごと持ち上げます。

JR東日本は先述のようにフットレストが貧弱な一方レッグレストが好きで、新幹線車両のグリーン車にはほぼ必ずレッグレストがあります。しかしJR東海フットレストが充実しているので、レッグレストは東海道新幹線に導入予定の個室のイメージ画像にそれらしきものが確認できるほかはありません。

フットレストとレッグレストのどちらが良いかは個人差が大きく、「レッグレストのほうが足を預けられていい」「レッグレストは太ももが疲れる」「フットレストは自然な体勢で休める」「フットレストは体重を掛けていることに変わりないから意味がない」などいろいろな意見がありますが、どれが正解ということはないです。欲を言えば両方ともあれば好きに選べて最高ですが、さすがに贅沢すぎるよね...

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JR各社の特急車設備設置率をまとめるとこんな感じでしょうか。感覚なのでちょっと違うかもしれませんが、各社の傾向が表れていますね。

◎=ほとんど全て設置、○=半分以上設置、△=半分以下設置、▲=わずかに設置、×=一切なし

という感じです。四国は△が多くてわかりにくいですが、これはJR四国独自の座席を持つ比較的旧型の特急と、JR東日本設計の座席を持つ比較的新しい特急が混在しているからです。

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いかがでしたか。今回は基本用語を解説できたので、次回はまずボックスシートについて話していこうと思います。楽しみですね。

...えーそれでは少し早いですが、これで授業を終わりにします。はい号令。

起立、礼。

ハイありがとうございましたー。

週末パスで行く信越の旅 ①

2月4日、日曜日の22時ごろ、家へと向かう湘南新宿ラインE231系の車内。特徴的な墜落インバータの音を聴きながら、私は2日間の旅を回想していました。

そういえば、旅の始まりもE231系だったな...

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おはようございます。

2/3(土)から2/4(日)にかけて、週末パスを利用して信越方面に1泊2日の旅行に行きました。

今回はその記録をご紹介します。長い記事になりますがどうぞよろしくお願いいたします。

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乗り鉄の朝は早いです。

土曜日の朝4時半、まだ両親が寝ている中家を出発し、最寄り駅へ。2日間有効の週末パスを改札機に通して始発電車に乗り、高崎線の始発駅である上野駅に向かいます。

これが今回使用する「週末パス」関東信越南東北JR東日本の路線、第三セクター、そして一部の地方私鉄が連続する2日間乗り放題で8880円です。特急や新幹線は別に特急券を買えば乗れます。

これから2日間、週末パスを活用し、長野と新潟をめぐる旅へ。わくわくの出発です。

中央緩行線の始発電車は、座席が半分程度埋まるくらいのそこそこの混雑率で夜明け前の東京を走ります。E231系500番台の灰色っぽい車内と緑色の座席、そしてやや劣化したLCDディスプレイが緩行線らしくて好きです。

秋葉原駅で山手線に乗り換え、上野駅を目指します。私の山手線の定位置は10号車4番ドア京浜東北線とのホームドアの兼ね合いでドア配置が変則的になっている場所です。さらに、山手線のE235系の10号車は、先ほどまで乗っていたE231系500番台の改造品なのです。

山手線のE231系500番台は、6ドア車のサハ(モーターがない付随車のこと)を2両連結して登場しました。しかしその後、ホームドアをつけるときに6ドア車が邪魔になるため、4ドアのサハを新造して組み換えることに。その新製サハはE233系ベースの仕様となり、2010年から7号車と10号車に組み込まれました。

時が流れ2015年、E231系500番台を中央総武緩行線に転用の上、山手線にE235系0番台を導入することが決まりました。山手線の11両に対し中央総武緩行線は10両なので、ドア配置が変則的な10号車を抜き取ることになります。しかし、先ほど書いたように、10号車は当時新製から5年ほどしか経っていない新しい車両だったので、廃車にするのはもったいない。そこで、E235系を10両で作って、10号車だけE231系のものを改造し流用しました。

そのため山手線の10号車は、E235系仕様で丸々作られた2編成分を除き、E233系仕様のE231系を改造したE235系というとんでもない車両になったのです。

改造の際にできるだけE235系っぽくはしてあるものの、

(1~9・11号車)

(10号車)

袖仕切りの形が違ったり、

雨どいの形が違ったりと、E233系仕様で作られたことは隠しきれていません。

そういった違いを見つけて楽しんでいると、すぐに上野駅に到着しました。

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上野始発の高崎線高崎行きは、E231系の短い10両でホームに止まっていました。

2号車のボックスシートに座ります。座り心地的に横コツの初期車でしょうか。

車番を確認するとやはりそのようです。私は乗り鉄の中でも座席鉄、つまり列車の座席マニアなのです。このくらい当てるのは簡単です。

E231系には4つのタイプがあって、座り心地が悪い順に、宮ヤマ初期車宮ヤマ後期車横コツ初期車横コツ後期車となっています。

宮ヤマ初期車の「ヤマ初期」という呼び名はみなさん聞いたことがあると思います。あれはE217系と同様の、石のような座面に反り返ったヘッドレストをもつ地獄のタイプです。ボックスシートの窓側のヘッドレストに切り欠きがないので区別できます。宮ヤマ後期車は多少反り返り具合や座り心地がマシになりました。

そして今回の横コツ初期車、これはE231系500番台や、房総の209系2000・2100番台の先頭車と同じような座り心地のものになります。反り返りが減り、座面は相変わらず硬いものの一応座席としての形になっている感じです。

横コツ後期車はかなり改善されており、座面にSバネが仕込まれて柔らかくなりました。ただしそれは座面の奥だけで、先端は硬いままなので太ももには優しくないタイプです。E531系に似た座り心地になっています。

そういうわけで、当たりではないけど大外れでもないようなボックスシート高崎駅を目指します。大宮を出発したあたりから東の空が明るくなり、鴻巣駅付近で日の出を迎えました。列車内から眺める日の出はとても幻想的でしたが、あいにく上手く写真が撮れず...。

上野から1時間、カゴハラスメントで有名(?)な籠原駅を出発し、群馬県へ近づいていきます。もっとも、この列車は最初から10両なのでハラスメントの実施はありませんでしたが。

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7時29分、定刻通りに高崎駅に到着しました。普通なら列車の写真をゆっくり撮って、峠の釜めしなどを買いたいところですが、なんと乗り換え先の信越本線横川行きは7時30分発。対面乗り換えとはいえかなりギリギリです。急いでのりこんだらすぐにドアが閉まりました。

発車1分前だからすでに埋まっているだろうという予想に反して、例のトイレ横のクロスシートが空いていたので、そこに座ります。

全編成高崎方面を向いているので、横川行きでは逆向きに走ることにはなりますが、十分快適です。

景色をぼんやりと眺めていると、ほどなくして終点の横川駅です。両毛線の2時間乗車に慣れていたせいかやけに短く感じました。

3ドアなのでロングシートが本当にロングです。

さて、次に乗る横川軽井沢間のバスは7分乗り換えなので、高崎駅よりははるかに余裕があるものの、やや急いで乗り場に向かいます。

冬の晴れた朝の空にJRバス関東の青い塗色が映えます。520円を精算し、車内に入ります。

座席は観光バスのようなものかと思いきや、意外とちゃんとしていました。全席にUSBポートがあり、スマホなどが充電できます。

............。

バスは横川駅を離れ、碓氷峠鉄道文化むらの横を通過して峠越えをします。ときどき自動放送で観光案内がありました。横軽間の鉄道や道路の歴史についてだったと思います。

このバスは、分断された信越本線をつなぐ役割のためか、災害等での代行を除く定期バス路線としては(おそらく)唯一、JR線と同じページに時刻が載っています。わかりやすいですね。

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30分強で軽井沢駅に無事着きました。次に乗るしなの鉄道の列車まで50分ほど時間があるので、入場券で新幹線を見ることにしましょう。

山の駅軽井沢に流れる接近メロディーの「海の駅」を聴きながら、あさま号を眺めます。美しい流線形、とてもかっこいいです。

新幹線ホームにいてもあまりやることがないことが分かったので、早々に退出し、乗る列車の1本前の普通列車を見ます。

しなの鉄道SR1系です。どう見ても某ハムたまごの色違いです。3ドアセミクロスシートで耐寒耐雪構造、しなの鉄道にはぴったりですね。

ロングなロングシート部分と、

お馴染みの尺束スタイルのボックスシートです。この座席モケットの色が成田エクスプレスにしか見えません。

さらにしばらくすると、私の乗る列車が入線してきました。特別快速軽井沢リゾート1号妙高高原行きです。こちらもSR1系ですが、先ほどのものとは色が異なります。

内装は全然違います。そう、近鉄L/Cカー東武TJライナーを発祥とし、近年首都圏の私鉄で着席通勤列車として急激に増えているデュアルシートです。

全車指定席なので、あらかじめ一番窓割りの良い席をとっておきました。指定席料金は区間によらず一律500円です。

私の席がある1号車と違い、長野寄りの2号車は座席がボックス配置になっていて、片側にはテーブルが乗せられていました。どうやら軽食付きプランのためのもののようです。しかしこの座席、窓枠と思いっきりかぶってますね。

今度はコンセントをちゃんと挿せました。しかもなかなかの給電速度です。やったね。

軽井沢駅を出発しました。右手に雄大浅間山を望みつつ、特別快速の名に恥じないスピードでかつての信越本線を快走します。

軽井沢駅から3分ほどで次の中軽井沢駅に到着しますが、なんと中軽井沢駅で降りる乗客がいました。先ほども書いたように、指定席料金は区間によらず500円。車内で精算していたので、料金はちゃんと払ったはず。なかなかリッチな乗り方です。30分後の普通列車ではだめだったのでしょうか。

上田駅を発車したころの車内の様子です。3分の1くらいは座席が埋まっているように見えます。リクライニングこそできないものの、回転クロスシートで必ず座れるのは観光客にとって良さそうです。フリーWi-Fiもあります。

休日はこうして軽井沢リゾート号で運用されますが、平日は朝夕の座席指定通勤ライナーとして活躍しているようです。もちろんデュアルシートですから、ロングシートモードにして普通列車の運用にも入ります。

軽井沢駅から1時間12分経ち、10時48分に長野駅に到着。一般色と並びます。私はここで降りますが、列車はこの先妙高高原駅まであと40分ほど行くようです。

長野からはスーツケースを持った外国人観光客が多数のってきました。さっきまで私の座っていた席も外国人観光客に代わりました。

コンセントのおかげで充電は50%から100%まで完全回復です。ありがとうございました。

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長野駅の改札を出て向かうのは、今回の旅の一番の目的、そう......

長野電鉄

いやあ、ついに来てしまいました。昔からずっと乗りたかった長野電鉄です。幼稚園くらいのときに親に連れられて乗ったことはあるらしいのですが、全く記憶がなく。実質初乗車です。

長野駅は地下2面3線の立派なつくりです。

長野電鉄について確認しておきましょう。これが長野電鉄の路線図です(ジョルダンから引用)。路線は長野線の1路線だけ。かつては屋代線や木島線といった支線がありましたがすべて廃止され、現在では長野駅から湯田中駅までの33.2kmを結んでいます。

種別は普通列車のほかに、A特急とB特急という有料特急列車があります。A特急は停車駅が少なく一部指定席で主に昼間に運行。一方B特急は通勤通学も考慮し全車自由席で主に朝夕に運行されています。車両はA・Bの区別はなく、2種類の車両がそれぞれどちらにも使われています。

そこの普通列車用の2種類を足して車両のバリエーションは合計4種類。今回は全種類乗ったので、乗ったときに紹介していきます。

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さて、紹介が済んだので旅行記に戻りましょう。長野電鉄の記念すべき初乗車は...

展望席最前列!

長野電鉄のフラッグシップ、元小田急10000形HiSEを譲り受けた、1000系「ゆけむり」です。

連接台車・ハイデッカー・展望席付きなどという頭のおかしい車両が地方私鉄で現役であることがすでにすごいですが、さらにその展望席の最前列に乗ることができるとは。感激です。

ちなみに料金ですが、乗車券分は週末パス使用で、特急料金がたったの100円、それに加え指定席料金が300円の、合計400円です。

A特急ゆけむりは長野行き・湯田中行きともに先頭車両のみ指定席となっており、前面展望は座席指定が必要。A特急でも後面展望やB特急では自由席になるので特急料金100円だけで乗れます。どちらにせよ超お得です。

11時33分の発車まで時間があるのでゆっくりいろいろ見ます。幕式でレトロですね。"Limited Express"を"Lim.Exp."と略すのは珍しい気がします。普通は"Ltd.Exp."ではないでしょうか。

この流線形のかっこよさは反則ものです。

車内です。連接車なので短めです。長野電鉄の他の車両が3両編成のところ、「ゆけむり」だけ4両編成なのはそのためです。

座席はロマンスカーらしく中央のひじ掛けはなし。背面テーブルやひじ掛け収納型テーブルはなく、折りたたみ式です。向かい合わせでも使えるのが利点ですが、通路側は少々使いにくそうではあります。リクライニングができませんが元からちょうど良く角度がついていたので普通に快適でした。

当然ロマンスカーですからブルーリボン賞をとっています。1988年。今年でもう36歳になるわけですが、これからもまだ頑張りそうです。

運転士さんが運転席につながるふたを開け、中に入っていきました。いよいよ出発です。

列車は長野駅を静かに滑り出すように発車しました。市役所前駅を通過、権堂駅に停車、善光寺下駅を通過と地下区間を駆け抜け、地上に出ます。

地上に出てもしばらく市街地の中の複線区間が続きます。この展望席に乗っているとまるでロマンスカーで箱根に向かっているかのような感覚になります。

複線区間が終わると列車は田畑の中をまっすぐ走ります。村山橋という鉄道と道路が共用の珍しい橋を渡りましたが、すみません、写真を撮り忘れました...。しばらくすると目の前に市街地が見え、主要駅の須坂駅に到着です。

須坂駅からは急に駅間距離が長くなります。北須坂駅を通過し、気持ちよいスピードで走っていくと、小布施駅になりました。

小布施駅には対向列車がいました。車両は同じ1000系ですが、あちらは臨時列車の「ゆけむりのんびり号」普通列車と同じくらいの速度でゆっくりと走り、観光案内や車内販売もある観光列車です。さらに一部の車両ではワイン飲み放題のプランもあるそうで、面白そうですね。

信州中野駅を出ると列車は急勾配を登ってどんどん標高を上げ、だんだん雪が積もっているようになってきます。東京に住んでいる私にとっては久しぶりの雪だったので少し興奮しました。(帰った数日後に東京にも雪が降ったのはまた別のお話...)

10時18分、終点の湯田中駅に到着。45分間の楽しい前面展望でした。ドアが開くと民謡らしきBGMが流れて旅の者を歓迎します。ほとんどの乗客はそのままスキー場行きのバスに乗り継ぎますが、私はスキーはしませんので、そのまま折り返します。

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週末パスを係員さんに見せて一旦外に出て、100円の特急券を買って車内に戻ります。

折り返しの乗車は小布施まで、短距離なので自由席です。HiSEのHiはハイデッカーのハイという意味もあるようで、展望席以外はすべてハイデッカー構造になっているので、一般席でもなかなか眺めが良いです。

小布施に着きました。小布施で降りたのは、見たい車両があったからです。ゆけむりに一旦別れを告げ、展示スペースへ向かいます。

ながでん電車の広場という看板のついた屋根の下に3両編成の電車が停まっています。

線路を渡り、通路を通って近づいてみました。この電車は長野電鉄2000系という特急車両のD編成、いわゆるラストナンバー。12年前の2012年に引退し保存されているようです。湘南顔と塗装がかっこいい!

車内に入りました。レトロな感じのボックスシートが並びます。私はなんとなく富山地鉄の14760形を思い浮かべました。どちらも2扉のクロスシートで似ている気がします。

座席は古い車両らしくバネの跳ねる感じが強め。現役時代に乗ってみたかったです。

説明書きがありました。1964年から2012年までということは48年の活躍です。地方私鉄らしくなかなかご長寿。今の車両もできるだけ長く走ってほしいものですね。

駅舎に戻って特急券を買い、次にやってきた湯田中行きの特急にまたなつかしい車両がやってきました。成田エクスプレス用のJR東日本253系を譲受した2100系、愛称はスノーモンキーです。もともと3両編成なので短縮せずそのまま使われています。ゆけむりとスノーモンキー、どちらもおもしろい名前ですね。

2100系は3両2編成がいますが、この日運用に就いていたのはN'EX時代の塗装をほぼそのまま残す第1編成のほうでした。

ちなみに第2編成は須坂の車庫でお休みしていました。上部が赤くなって、側面が真っ白になるなど、面影は残しつつも違う見た目になっていることがわかります。個人的にはどちらも好きです。

253系の普通車は元々特急としては異例のボックスシート(!?)で作られましたが、さすがに不評だったらしく後年集団見合い配置(車両の真ん中に向けて座席が固定されている配置)に改造されました。

長野電鉄ではA特急スノーモンキーの自由席車両はすべてその配置になっています。リクライニングは当然しませんが、先ほどのゆけむりと同じくちょうどいい角度になっているのでなかなか快適です。ただ、それは特急料金100円だから良いのであって、253系時代のN'EXの高い特急料金に見合うものだったかどうかは正直疑問符です。

そういえばN'EX、3月からE259系しおさい運用開始のためか一部区間で値下げになるらしいですね。うれしいことです。

自由席は主にインバウンドの外国人観光客でこの写真に写っている以上の混雑です。ちなみに頭上の荷物棚は開きませんでした。

元N'EXであることを感じさせる大きな荷物スペースは今でも役立っているようです。

10分ほどで信州中野駅に到着しました。特急料金が100円なおかげで、短時間でも気軽に乗れるのがうれしいです。

行先表示器はなぜか幕式と3色LEDが混在しています。指定席車両の1号車だけLEDなのは普通車化改造の時の都合なのでしょうか?(普通車化改造については後述します)

コンコースにはこんな案内板がありました。後で須坂に見に行きますよっと。

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続いての乗車は普通列車長野行き、長野駅から3列車連続で特急にのっていたのでやっと初めての普通列車です。見てわかるように車両は元東急の8500系長野電鉄でも形式名は変わっていません。

ただこの編成はよく見ると貫通扉がにせもの。どうやら先頭車化改造車の編成に当たったようです。もともとが切妻なので改造車でも遠くから見れば同じに見えますね。長さは3両編成に短くかわいくなりました。

車内は東急時代のまんまです。のんびり過ごしているといつの間にか発車時刻となり、長野に向けて走り始めました。

界磁チョッパの音を響かせて、普通列車といってもなかなかの速度で田園地帯を駆けます。

「ながでん子供無料デー」の広告がありました。運賃だけでなく特急料金もただということで、かなりのサービスですね。しかも月2回も。

20分ほどの乗車で須坂駅に到着です。(すごい逆光なのは気にしないでください)湯田中側の先頭車にはスカートがついていました。長野側についていないのはなぜなのでしょう?

改札を出てしばらく線路沿いを行くと、いました3500系。数年前に引退した車両ですが、現役時代の姿のままとても見やすい場所に置いてくれています。初代日比谷線営団3000系を譲り受けたものですが、赤い帯がついて2両のかわいい編成になっています。

ドア窓ちっさ!!

車内からだとどんな感じだったのでしょうか。一度現役時代に乗ってみたかったです。3500系や2000系が活躍していた時代に思いを馳せるのもいいものですね。

日比谷線時代の面影を残す無塗装車も。

駅の東西を結ぶ跨線橋から車庫を眺めてみました。2100系3500系8500系3000系と4種類の車両が大集合。迫力があります。3000系はまた後で乗ったときに紹介します。

駅構内にあったこんな看板。平成と書いてありますが、30年ほど前のものでしょうか?さすがに今は暴走族はいないと思いたいです。

ホームに戻り、再び特急券を買ってスノーモンキーに乗りました。集団見合い式にしたときに後付けされたテーブルにお菓子を広げます。

ミルクティーセブンイレブンの130円プレーンビスケット、それから純露べっこう飴です。純露は普通の砂糖味と紅茶味のアソートになっていておすすめ。特に紅茶味は個人的飴ランキングの上位に位置します。

もう一度車内の様子を見てみましょう。集団見合い式なので中央部はボックスシートのまま残されており、かつての雰囲気がわかります。

集団見合い式にしたことで知らん人と向かい合わせになる危険性は無くなりましたが、一方でこんな欠点も。窓割りがボックスシート時代から変わっていないので、カーテンが2列で1つになってしまっています。

私も前の乗客に、ただでさえ小さな窓のカーテンを3/4くらい閉められてしまい、まぶしくもないのに細い隙間から景色ののぞき見をするはめになりました...。

20分ほど走り、14時38分長野駅に到着。1往復+αで戻ってまいりました。スーツケースを持った旅行客がぞくぞくと降りてゆきます。

一方私はさっと写真を撮ったらそのまま向かい側の普通列車へ。14時41分発、8500系信州中野行きです。今度は先頭車化改造ではないので貫通扉が本物です。さて、ここまでは特急4回普通1回と特急ばかり乗っていたので、今度は湯田中駅まで普通列車だけで行ってみましょう。

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土曜日の午後のちょうどいい時間ということで、長野駅出発時は3両編成の座席が9割埋まるくらいのそこそこの混雑。経営の厳しい地方私鉄にとっては少し明るい光景かもしれません。

市役所前、権堂、善光寺下と地下区間を抜け、須坂あたりまでは混雑が続きました。

このステッカーは何十年前から貼られているのでしょうか。雨の日も風の日も扉に指を挟み続けてきたこの少年の忍耐力に敬礼。

天井には昔なつかしき扇風機が。

そうこうしているうちに終点の信州中野駅に着きました。8500系は急勾配の走行で必要な抑速ブレーキがついていないので、山登りをする信州中野駅以北の区間は出禁になっています。

そんな山登り区間で活躍するのがこちら、

(画像はイメージです)

東京メトロ03系あらため、長電3000系です。信州中野駅は乗り換え時間が短かったので、午前中に長野駅で撮ったイメージ画像で許してください。編成は写真と同じM2編成でしたし。

比較的昔の姿をそのまま残す他の形式と違い3000系は、03系時代にはなかったスカートがついたほか、前面の帯が赤くなっているので、だいぶ表情が変わっています。

さらに行先表示器はフルカラーLED

長電に譲渡されたのは03系の中でも初期のグループで、すでに製造から35年ほど経っています。しかし、当時にしては近代的なブラックフェイス+角形ライトの整った顔と、徹底的なB修繕工事や譲渡改造のおかげで、まるで新車のような美しさ。すごいかっこいいです...

車内のようす。メトロ時代から変わっていない非バケットシート車で、バネの入ったばいんばいんとした座り心地です。8500系がけっこう硬めだったので差がついています。モケットやドアチャイムもメトロ時代と同じなので、特に地下区間では日比谷線を感じることができるのではないでしょうか。今回は信州中野湯田中でしか乗りませんでしたが...。

そうそう、日比谷線といえば、先ほど須坂で見た3500系も元日比谷線の車両。3500系にとっては、東京と長野で2回同じ車両に置き換えられたということになるわけです。

日比谷線にて~

03「やあ!君を置き換えに来たよ!日比谷線から消えてくれ!」

3000「くそー!長野に逃げるぞ」

長野電鉄にて~

3000あらため3500「やっと長野で平和な生活を手に入れた...」

03あらため3000「やあ、また会ったね!今度こそ君には廃車になってもらうよ!あとついでに君の日比谷線時代の形式名はもらったよ!」

3500「いやぁぁぁっ」

こんな感じのストーリーでしょうか...。(突然の茶番)

そんなしょうもない妄想をしているうちに湯田中駅に着きました。普通列車でも列車到着時にはBGMが流れます。15時48分という時刻なのでナイタースキーなんかにはちょうどいいような気もしますが、降りた客は数名程度でした。

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次の列車の発車まで1時間あるのでのんびり過ごしましょう。3000系の特徴的な帯は、前面は赤くなっているものの、側面はシルバーのまま残っています。

余談ですが、03系は18m車でなおかつ機器更新や修繕のなされた状態がいい車両ということで、ここ長野電鉄の他に熊本電鉄北陸鉄道上毛電鉄にも譲渡されている人気車両です。しかし長野電鉄以外はすべて2両編成になっているため、03系の中間車は長野が唯一。また、複線区間を走るかっこいい姿が見れるのも長野だけです。ちなみに地下区間北陸鉄道でも見られます。同じ03系でも改造内容に各社の個性があるので、いつか4社全部に乗ってみたいですね。

かっこいい駅舎です。

道路に出てホーム先端側に回り込みました。右側のホームはかつて湯田中駅スイッチバックだった時代に使われていたものらしいです。

湯田中駅はかつて地形の関係で、全国的にも珍しいスイッチバック終点駅でしたが、1000系ゆけむり導入の際にスイッチバックが大変になる(運転台が展望席の上にあるので乗務員の移動が面倒)ので普通の棒線駅に改修された過去があります。私も一度スイッチバックを体験してみたかったです。

さらに進むと、ビニールシートで囲まれた異様な空間がありました。入ってみましょう。

そう、湯田中といえば温泉ということで、足湯です。この日は風が強かったからかビニールシートで覆われていました。

入ってみるとかなり熱いお湯でした。42~43度くらいはありそうです。でも、長い旅で疲れた足を癒すにはぴったり。比較的ぬるい下流の方でのんびりとつかります。

ああぁー.........

20分ほど浸かると次の列車の到着時刻が近づいてきました。しかしなんとここでタオルを持っていないことに気づきます。仕方ないので足をぶらぶらさせて自然乾燥。適度に乾いてきたら靴をはいて、駅に戻りましょう。今の時刻は16時20分くらいです。

16時48分発のA特急スノーモンキーはすでに入線していました。早く乗りたいので早足で駅に向かい、週末パスを見せて改札を通ります。

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さて、次は自由席ではありません。

おや?これは...

個室指定席!「Spa猿~ん」というなんとも間抜けな愛称がついています。いや、スーパーサルーンとかけたものなのでしょうが、「猿~ん」って。まあかわいいのでいいでしょう。

2人がけのでかい座席がボックスシート状に並んでいます。真ん中には大きなテーブルも。リクライニングは少しわかりづらいですが奥が最大角度、電動のせり出し式で角度はそれほど大きくありません。しかし座席が大きくて座り心地も最高なので超快適です。

この個室は元々はN'EX時代にVIP用として設定されたグリーン個室です。現在は何人で使っても指定席4人分と同額の1200円で乗れますが、N'EX時代は個室料金だけで現在の5倍にあたる6000円。そこにさらに割高なA特急料金(長電の種別と紛らわしいですが、JRの特急料金区分のほうです)をぼったくられ取られたので稼働率は低めだったようです。

しかし、長野電鉄に来てからは大幅な値下げのおかげで好調な様子。私が乗った日はほぼすべての列車で個室の予約が入っていました。ちなみに現在の1200円という料金はこれでも値上げしたほうで、数年前までは1000円でした。やばいです。お得すぎます。

個室の反対側も見れるように、個室扉の横にはガラス窓がついています。

しかし、このスイッチをONにすると...

曇りました!プライバシーを守れる先進的な設備です。もっとも、この個室は運転室と乗降扉の間にあるので、他の乗客が通ることはほとんどありませんが...。

さて、普通の指定席の様子も見てみましょう。ゆけむりは前面展望席を含む一番前の車両が指定席になっていますが、スノーモンキーではリクライニングシート湯田中寄り1号車が指定席です。実は1号車だけはグリーン車からの改造車で、よく見ると座席以外にも窓の形や荷物棚が違っています。

そしてこれがそのリクライニングシートです。座面スライド機構のついたもので、E257系などの座席と同じものでしょうか。

誰もいなかったのですこし座ってみましたが、正直座り心地は自由席の集団見合いシートと比べて硬めでした。また、角度に関しても自由席でも最初からちょうどいい角度がついているので、リクライニングだからといって自由席と比べて優れているということもないように感じました。なんか微妙な座席です...。

個室に戻ってお菓子を再び広げ、のんびりくつろいでいると、16時45分、列車は静かに湯田中駅を発ちました。JR東日本で聞き慣れた4打点チャイム(の半音低いバージョン)が鳴り、落ち着いた声の自動放送が流れます。長野駅まで49分間の個室の旅の始まりです。

2月のはじめの夕方。線路が山を下るのといっしょに、太陽がゆっくり下がっていきます。

17時17分、須坂駅に着きました。太陽はどんどん沈み、車窓が紺色っぽくなっていきます。写真で見るとなんか着色ガラスみたいですね。

誰も見ていないのをいいことにだらだらくつろいでいると、あっという間に次は終点の長野駅。名残惜しいですが片付けをして個室に別れを告げます。

櫛形地下ホームの真ん中に止まる特急車両は堂々としていました。

湯田中方面からも撮ってみました。4発のヘッドライトが特急車両の風格を生み出しています。

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時刻は5時半を回り、地上はもう真っ暗でした。そろそろ一回、本日の寝床に入ることにしましょう。夕飯の時間も近いですし。

安いビジホの定番、東横インです。

学割プランのシングルで6,380円なり。カプセルホテルなどであればより費用は抑えられるのでしょうが...。

そういえば、さっき長野駅の改札前でお土産にこんなものを買ってきました。長電長野駅では改札前でいろいろな野菜や特産品が売られており、駅員さんにお金を払う方式になっています。これはしょうゆ豆という商品で、見た目はしょうゆと味噌の中間のようなものに大豆が浸かっている感じでした。味は2日目の最後に書きますのでお楽しみに...(公開いつになるんやら)

そこらへんのコンビニで調達してきました夕飯です。おにぎりランチパックカップラーメンというトリプル炭水化物におかずがやきとり缶詰め。デザートに豆乳と雪見だいふくがあります。栄養バランス?そんなものは知りません。あ、しょうゆ豆は家に持ち帰りますよ。

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夕食を終えて19時半、再びやってきた長野駅。夜の部の始まりです。乗るのはB特急湯田中行き、湯田中まで往復して帰ってくるだけですが夜の列車旅を楽しみましょう。

長電特急のおさらいです。朝の上りと夕方以降にだけ運行されているB特急は、長野~須坂間でA特急よりも停車駅が多く、A特急と違って全車自由席。そのため、夜景ではありますが指定席料金なしで前面展望ができます。

人がいないのでちょっと遊んでみます。展望席の2列目は回転できました。わざわざせっかくの展望席を逆向きにすることはないと思うのですが、一般席と共通化したかったのでしょうか。

最前部からの後ろの眺め。ハイデッカー構造のほか、展望席部分の床が斜めになっていることがわかります。

運転席への台です。

発車時刻が近づき、運転士さんがやってきて天井をがちゃりと開けたかと思うとみるみるうちに吸い込まれていきました。そしてその後を追って外国人カップルのおふたりと、地元住民らしきおじさまが乗車し、発車。誰もいない1号車は展望席1列目だけ埋まりました。

列車は夜の長野線を走っていきます。思ったよりも暗く前面展望はあまりできませんでしたが、おじさまとカップルのおふたりとお話をしました。私が一人で来ているということを言うと驚いておられました。

おじさまは信濃吉田で降りられたのでやはり地元の方のようで、カップルのほうはそれぞれ東京と酒田で英語の教師をされているとおっしゃっていました。お姉さんはゆりかもめが、お兄さんはE653系いなほが好きなのだそうです。

いや、やっぱり、英会話って単純に文法を知ってればいいってもんじゃないですね。一応英語の成績には自信がある私ですが、全然話せませんでした。英会話もっと勉強しないとな...。

20時29分、湯田中に到着です。カップルのおふたりはバスに乗って志賀高原へ旅立って行かれました。お幸せに!

さて、私は夜の湯田中でやることもないので折り返しのB特急でそのまま帰ります。20時40分、再び湯田中を発車しました。上り方面では最終の特急になります。

黒い背景にときどき光が映る窓ガラスをぼーっと眺めながら連接車の乗り心地を味わっていると、21時29分、いよいよ終着の長野駅に入りました。展望席で入る櫛形ホームはなかなか迫力があり興奮します。

そして、これをもって1日目の旅はすべて終了となりました。また、半日間乗りまくった長野電鉄とも一回さよならです。次の日も朝が早いので、さっさとホテルに帰って寝ましょう。おやすみなさい...

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さて、今回の旅のメインの目的であった長野電鉄ですが、正直に言って私が今まで乗ってきた全国の鉄道会社でもトップクラスのおもしろさでした。私が感じた長野電鉄のおもしろさを説明するにあたって、「リトル大手私鉄という(今私が勝手に作った)言葉を使いたいです。

「リトル大手私鉄」というのは、直訳で「大手私鉄の縮小版」を意味します。では、長野電鉄はどこが大手私鉄の縮小版なのでしょうか。

まず、路線の話です。長野電鉄は、長野県の県庁所在地たる長野市長野駅から、温泉や志賀高原リゾートで有名な湯田中駅を結び、全長は33.2kmと短いものの、通勤通学観光の両側面の需要があります。さらに、長野駅から1.6kmの善光寺下駅までは地下線長野駅から6.3kmの朝陽駅までは複線と、地方私鉄にしては異常な高規格です。

次に車両と種別の話。長野電鉄の車両は元JRの2100系を除けばすべて大手私鉄、またはその直通の車両で、編成が短くされている点はまさに物理的リトル大手私鉄といえるでしょう。さらに、約1.5時間に1往復という高頻度で有料特急を運行。地方私鉄の有料特急は富山地鉄などにもあるにはありますが、長野電鉄のそれは運行本数が規模の割には明らかにけた違い。さらに、展望席や個室などの特徴的な設備やそれにかかる料金の安さを考慮すると、下手したら大手私鉄以上に充実している気もします。

さて、観光地温泉地地下線有料特急展望席個室...。ここで私は2つの大手私鉄を思い浮かべました。そう、小田急東武です。

小田急要素は、箱根という温泉地、箱根登山鉄道線の山登り、千代田線の地下線(少々こじつけ?)、そしてなんといっても元HiSEの1000系。

東武要素は、鬼怒川温泉、日光のお猿(かわいい)、半蔵門線日比谷線の地下線、そしてその元日比谷線03系の3000系。ついでに言えばスペーシアには個室がありますし、2100系と生き別れた253系もJR直通特急で走っています。

どうでしょう。こうして見ると、まさに「リトル大手私鉄」という言葉がぴったりではないでしょうか。

で、そんなリトル大手私鉄の何が良いのかという話ですが、一つ目は譲渡車両がいること。譲渡前なら見られなかった車両の夢の並びも実現していますし、少し昔の車両をなつかしむことができます。

そして二つ目はお手軽であること。距離の短さゆえに気軽に乗り通すことができ、長野電鉄の場合は特急料金も100円という安さで、追加料金でいろいろアップグレードが可能。地方なので普通運賃こそ高めですが、今回は週末パスを使って乗り放題になっていますし、実はお得なきっぷも割と充実している会社です。

最後三つ目ですが、地方だからこそのロマンにひたることができること。都会と違って混雑率も低く、時間がゆったり流れているので、ゆったり楽しむことができます。地下区間の駅はいい意味で殺風景で、独特の空間でした。

長野電鉄最高!またのりたい!と思えて本当によかったです。長々と語ってしまい申し訳ございませんでした。

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次回!!

「お布団VS北越急行ほくほく線

「女子高生、幼稚園児に抱きつかれる」

「謎の相模線と失われた記憶」

乞うご期待!!

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大変お待たせいたしました。

2/3~2/4の信越旅行1日目の記録になります。

旅の内容が想像の数倍濃く、実生活多忙もあって公開が遅れてしまいました。お詫び申し上げます。

堂々と次回予告をしましたが、次回も数週間程度かかる可能性がありますので、気長にお待ちいただければ幸いです。

最後まで読んでくださりありがとうございました!

両毛線&八高線大回り乗車

...ピピピ ピピピピ

うーん...

あと10分寝かせてよ...

 

ピピピピピピピピピピピピ

...ハッ!

朝か......

 

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おはようございます。

1/28(日)、本ブログの初投稿も兼ねて両毛線八高線大回り乗車をいたしました。

今回はそのご報告です。

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朝6時に目が覚めました。

朝食としてチャーハンのようなものを作って食べ、出発します。

朝7時半、自宅の最寄り駅から中央線のE233系で東京駅を目指します。このトイレの横のスペースが私のお気に入りです。

E235系のようにクッションなどがあればより良いですが、大した乗車時間ではないので立って過ごします。

電車内で、今日の経路を確認します。

東京駅から宇都宮線小山駅

小山駅から両毛線高崎駅

高崎駅から八高線高麗川駅を経由し拝島駅

拝島駅から青梅線と中央線で自宅の最寄り駅(のひとつ隣)まで行く予定。

両毛線八高線大回り乗車で人気のある路線のひとつですよね。

大回り乗車とはそもそもなんぞやという説明はここでは省きますが、初乗り運賃でこんなことができるのは本当にすごいです。

時間がさらにあれば、千葉や友部などを経由することも可能ですし、房総大回りも魅力があります。一方、鶴見線など、東京都心に比較的近い路線も楽しめますね。

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さて、宇都宮線に乗る際に気になるのが、使用車両です。E233系なのかE231系なのか、この違いは天国と地獄の違いと言っても過言ではないでしょう。特にいわゆる"ヤマ初期"。できる限り避けたい車両のひとつです。

そういうわけで、乗車前に運用を調べました。

基本編成はE231系ですが、なんと付属編成はE233系!当たりです。車両によっては小山まで地獄の1時間半の可能性もあったわけで、これは運が良かったといえるでしょう。

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東京駅に着きました。

付属編成のクロスシート車、14号車で待っていると...

来ました!やっぱりE233系です。

(こういう写真をS式と呼ぶ方もいますが、私はあまり上手な写真を撮ることができないので、車両の写真はS式になることをお許しください)

ボックスシートに空きがありました。E233系のボックスはE231系のそれとは全然違う柔らかさです。車内の雰囲気も明るく、天気のいい日曜日の大回り乗車にぴったり。さあ、出発です。

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今回の旅のお供は、セブンイレブンのプレーンビスケット(約130円)と水ゼリー(170円)です。

プレーンビスケットは最近知った商品なのですが、この値段で150gも入って、しかも美味しい。学生に優しいです。量が多いので高麗川駅に着いてやっと食べ終わりました。

(案件じゃありませんよ。中学生ですからね)

東大宮を過ぎると一気に田園風景になります。畑を焼いている匂いが車内にも伝わってきました。焼き芋たべたいなぁ。

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普通列車ですがなかなかのスピードで宇都宮線を快走し、9時48分、小山駅に到着しました。

目指すのは両毛線ホームです。

がらんとしていて薄暗いホームです。ある種の旅情があります。

乗車予定の列車は10時11分発。この時刻なら宇都宮線は1本後の列車でも間に合うのですが、あえて早く着いたのには理由があります。

そう...

この席に座るためです!

両毛線を走る211系は基本ロングシートです。しかし、編成中に1ヶ所(6両編成は2ヶ所)だけ、先ほどの画像のようなクロスシートがあるのです。その理由はトイレです。

トイレの前の席がロングシートの場合、トイレですっきりして出てきた人は、目の前のロングシートに座っている人と目が合って気まずくなってしまいます

一方、トイレの前の席が横を向いているクロスシートの場合、目が合わないので気まずくならずに済むのです。

そういう意味で誕生したこのクロスシートですが、現在では専ら乗り鉄の専用席になっています。しかしこのクロスシート、ただのロングシートを横に向けただけのものですので、

足元がかなり狭い。

目の前の優先席に座っている人の横顔を眺めることになる。

など、完璧ではありません。それでもロングシートより景色が良く見えるので、今回はあえて早く着いて席を取りました。

ちなみにこのクロスシートは高崎地区の場合すべて高崎方面を向いているので、高崎行きに乗れば必ず進行方向に座れます。一方、小山行きでは必ず逆向きになってしまいます。

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出発まで少し時間があるので、貴重品だけ持って歩いたり、車内を見たりして過ごします。

両毛線ホームは6番線と8番線で、7番線が欠番になっていますが、この切り欠きが7番線の跡でしょうか。寂れた感じです。

国鉄型の形式なのになんの面白味もない車番のフォントですね。がっかりしてしまいます。

クロスシートだからといって特別に窓枠が広げられたりはしていませんが、ペットボトルをギリギリ置ける程度の幅はあります。

昔ながらの幕式。ここは古き良き感じが残っていていいですね。

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10時11分、列車は定刻通り発車しました。

発車のときのガコンという衝撃が、211系に乗ったことを感じさせます。

雲がほとんどない快晴です。奥に灰色の雲のようなものがありますが、先ほどのような畑を焼いた煙だと思われます。

しかし、快晴ということは...

眩しい!

画像では分かりづらいですが、カーテン越しからでも光が直撃してきます。カーテンは全開、4分の1くらい開、全閉の3段階だけなので、4分の1くらいだけ開けて隙間から景色を見ます。

1時間ほど乗っていると、桐生駅に到着しました。列車交換のために数分停車したので、向かい側のホームに停まっていたわたらせ渓谷鐵道気動車を眺めます。

さらに30分ほど乗ると、東武鉄道の線路が合流し、伊勢崎駅に到着しました。

1分ほど東武車と並びます。

伊勢崎駅を出ると30分少々で、列車は終点の高崎駅に入りました。2時間10分ほど乗りましたがトイレ横のクロスはわりと快適でした。

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先ほどまで乗っていた211系を見送り、3番線へ移動します。

3番線は、2番線と4番線のホームの端っこに小さく線路が置かれたこじんまりしたホーム。

ホームの高さは他より少し低めで、長さも3両編成が入ればいっぱいになってしまいます。

向こうには小さく12系客車が見えますね。

そうしていると、2両編成の気動車がエンジン音を響かせながら入線してきました。首都圏の大回り乗車(厳密に言えば水郡線なども近郊区間に入りますが、ここでは都心発着の乗車券を使用するものに限定しています)で定期列車として乗れる唯一の気動車キハ110系です。

製造から30年ほど経っている車両ですが、シンプルで古さを感じさせないデザインが好きです。新潟や秋田で増えているGV-E400系で置き換えるのではないか等という予想も聞きますが、あとどれだけ活躍してくれるでしょうか。

各車両に4人がけと2人がけのボックスがそれぞれ4つずつあるので、簡単に2人がけボックスを取れました。各ボックスに1人ずつとロングシートに数人で丁度いいくらいの乗車人数です。

12時56分、高崎駅を出発しました。ローカル線でよく聞く声の自動放送が流れます。合成ではないと思うのですが、なんという方の声なのか知りません。もしご存知の方がいらっしゃったら教えてください。すごく好きな声なのです。

八高線八王子駅から高麗川駅までの通称南線は電車が20~30分に1本、高麗川駅から高崎駅(倉賀野駅)までの通称北線は気動車が1~2時間に1本であり、大回り乗車区間の中では少なめではあるものの高麗川駅での接続もとられていて乗りやすいと思います。

ただし、私が乗った12時56分発の1本前にあたる11時56分発はなんと1両(単行)でした。昔、1両だと知らずに乗って2人がけですら相席になった思い出があるので、おすすめしません。

運行系統上の八高線高崎駅からで、路線名上はその次の倉賀野駅からですが、線路はそのさらに次の北藤岡駅の手前あたりでようやく分かれます。ここからはのんびりした単線です。

神流川を渡ります。水の量が少ないようにみえますが草で隠れているだけでしょうか?

高崎駅から数十分で寄居駅に到着です。ここにも伊勢崎駅のように東武車がいました。

寄居駅から小川町駅までは山の中をゆくローカル線らしい区間ですが、いい写真が全然撮れませんでした。ごめんなさい。

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小川町駅を過ぎると4駅で終点の高麗川駅です。高麗川駅からは画像に写っているE231系または209系に乗るわけですが、その座席の固いことといったらまさに石です。

朝からE233系、211系、キハ110系と柔らかい座席の車両にばかり座っていたこともあってか、10分ほどで臀部が痛くなってきました。

しかし、高麗川駅からは必ずこれに乗るしかないのです。悲しいことです。

なんとか拝島まで乗り、青梅特快に座って帰りました。やっぱりE233系は素晴らしいです。

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受験シーズンですね。今日も車内に某塾の

「You're the hero 桜より先に咲いてやろう。」

などというクソださいポエム広告が貼り出されていました。

私の学校も受験休みとなるため、次回(2/1以降)はそれを利用して、255系しおさいの乗車記をお届けする予定です。そのさらに次(2/4以降)は週末パスを使った信越への1泊旅行を予定しております。お待ちいただければ幸いです。

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以上で終了です。今回は最後までご覧いただき、本当にありがとうございました。